
・どんな研究があるんだろう
こういう疑問に答えます。
この記事を読むことで以下を得られます。
・行動経済学の研究例がわかる
この記事を書いているぼくは経済学部に所属しており、ゼミでは行動経済学を専攻しています。
そんなぼくが、「予想どおりに不合理」という本に載っている実験例をもとに「行動経済学」をわかりやすくご説明します。
行動経済学とは
これまでの経済学では、「我々人間は常に合理的な行動をする」という前提のもと進められてきました。
しかし実際、我々は非合理なことをたくさんしています。
そこで、ある心理学者の人が「人間はいつも合理的に行動しているとは限らない」と言い始まったのが「行動経済学」という学問です。
つまり行動経済学とは、我々が普段いかに非合理な行動をしているかを研究する学問です。
行動経済学の研究例
行動経済学の研究の一例をご紹介します。
経済学で習う需要と供給の曲線は
のような感じです。
高校で習った方も多いでしょう。
上記の需要・供給曲線は、「価格が低ければ低いほどものを欲し、高ければ高いほどほしい人が少なくなる」ということを表しています。
つまり無料のときに一番ものをほしがるということで、これが我々の合理的行動になります。
しかし、この考えは間違いであるという行動経済学の研究があります。
なぜ無料のときに我々は一番ものをほっしないと言えるのか?
このことについて研究した実験を見ていきましょう。
キャラメルの実験
大学の学内にお菓子売り場を設けて実験をしました。

・「キャラメル1個1セント」と書かれた張り紙を貼った場合
の2つのケースで、売れ行きに違いが出るのかどうか調べました。(ちなみに1セント=だいたい1円ほどです)
実験結果
1個1セントで売った場合、1時間で1人あたりに買われた個数の平均は3.5個、無料で売った場合には、平均1.1個という結果になりました👇
実験からわかること
・逆にお金が絡んでくると自己利益を優先するようになるから、他者のことを気にかけなくなる。
このキャラメルの実験で、無料になると我々はあまりものを欲しがらないことがわかりました。
では、これは「無料」が引き起こした結果なのかどうかを、次のチョコレートを売る実験で詳しく調べていきます。
チョコレートの実験
この実験では、通りすがる学生にさまざまな値段でチョコレートを売りました。

チョコレートを1個5セント→1セントに値下げした場合
チョコレートを1個1セント→無料に値下げした場合
の3ケースで、チョコレートの売れ方にどんな違いがあるのかを実験しました。
実験結果
・5セントから1セントに値下げした場合、売れた個数が240%アップ
・1セントから無料にした場合、売れた個数が240%アップ
これまでの実験からわかること
- やはり「無料」が消費行動に影響を与えている
- 経済学の需要の理論は値段0のとき意外にのみ成り立つ
まとめ:行動経済学は実用的です
これまでをまとめると、
・行動経済学の研究例
キャラメルの実験
チョコレートの実験
→無料のときには需要の理論は成り立たない
行動経済学を勉強すると、実用的なことが学べます。
今回でてきた無料の与える影響の実験を、スーパーの試食販売に応用してみましょう。
試食販売は無料です。
なので今回の実験結果によると周りの人を気にして試食する人が減ってしまいます。
また、「無料」の試食を一回でもした人は、販売員の人の目を気にしてイヤイヤ買ってしまいます。
では、試食販売を有料にしてみたらどうか。
無料のときに比べて試食する人が増えます。
さらに、試食した人は販売員の目を気にすることがなくなるので、「本当によかった」と思えるものを買っていきます。
結果、気に入ってくれた人はまた買いに来てくれるのでリピーターが増えることになります。
実際、試食販売を有料にしたら売上が上がるかどうかはわかりません。
しかし行動経済学を勉強すると、こういう面白い考えをできるようになります。
行動経済学の研究は今回ご紹介した「無料の与える効果」についての実験以外にもたくさんあり面白いので、ぜひ勉強してみてください。
おすすめする本は、この記事でお伝えした実験内容が載っている「予想どおりに不合理」という本と、ヘンテコノミクスという本です。
「ヘンテコノミクス」←行動経済学を漫画スタイルで学べる本
それでは。